Silvia Del Bianco先生のリトミックレッスン

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2012年早春「 リズムの森特別講習会」にてジュネーブ・ジャック=ダルクローズ音楽院 学院長:シルビア先生がレッスンをされた。
シルビア先生のレッスンは、2008年夏の名古屋音楽学校・ダルクローズセミナーでのレッスン以来2回目の受講。

このブログを読んでくださる方に、リトミックは子どものための音楽教育の導入に使われる手法であるだけではないと知っていただくきっかけになれば・・・ということで、レッスンの様子を書かせいただこうと思う。
先生のレッスンは、美しく穏やかな喋りと声、凛とした且つにこやかな表情、柔らかなピアノの音。すっきり整然としたレッスン運び。
始めこそ緊張感があったけれど、そのうちに優雅さに取り込まれるような心地よさ。まずは、会場の中を縫うように動き、共にレッスンを受ける人たちとの空間の共有を意識し、自分の身体を解放させ、次第にミュージカルホップ(音の合図)に耳を傾け音楽へと集中していく。メインテーマは 「バイナリービートの不等分割」 。(2拍子基礎リズム)4拍分のスペースの意識・動きの流れの方向・重心移動といった基本も丁寧にさらい、リズムのバリエーションごとのエネルギーの流れの質の違いを、動きの経験から言葉に置き換え、より明確にしていく。

そして、指導者の方々も多く受講されているので、レッスンプランの構築方法やレッスン段階によるピアノ即興の入れ方の違いなども説明してくださった。

また、リズム課題クリヤ後の発展(即興唱や時間の倍速変化)や、和音の聴き分けのエクササイズ例の紹介も。
例曲は、Oswald Russell : Jamaican dances, No. 2
全体を3グループに分け、メロディー・オスティナートリズム・和音の3パートにそれぞれ動きをつけ、曲を表現する。私はメロディーパートのグループ。この活動では、2種類のメロディーの違いと関連性、ABそれぞれのメロディーライン中のエネルギーの流れ(緊張・弛緩)、ダイナミクスの違い等を各自が瞬時に分析し、短時間に身体での表現方法を話し合い、自分の担当を決め、他の人の動きを感じながらそれに応じていくという、正に音楽性と人間性をフルに働かせることが求められる。オスティナートのグループは、グループ全員でうねりを表現し、ダイナミクスに応じた動きの違いを色とりどりのスカーフを使い表現効果を上げておられた。和音を担当するグループは、全体の中での専有面積を平面だけではなく立体的にもとらえ、和声機能の分析も動きの形態やスピードの違いで表現されていた。先生の演奏にあわせて全員で動き、そのダイナミックな世界に感動!参加されていた皆さんからもとても良い刺激をいただけた。

もう一時間は、「カノン」のレッスン。
レッスンプランは多様性に富み、また姿勢も動きも美しくレガートであることが要求され、全身の神経がピンと張りつめてくる感覚がわかる。空間をどう使うかにも常に注意を払うようにとの指摘に、視感覚センスを磨く大切さも実感する。

ここでも、「カノン」レッスンにおける多くの素材や段階、どのようにするとより高度なレッスンになるかまでを理路整然と紹介し解説してくださる。

例曲は、Polskie Wydawnictwo Muzyczneというポーランドの作曲家の 「Kanon・ A Round・ Kanon」という小品。
ヘ短調で書かれているが、ソルフェージュの課題にもなりそうな難しい音程の並んだ曲。ゆっくりのテンポの曲だがリズムも複雑で、フレーズの分析も譜面上からでは難解。これを数回聴き、メロディーを覚え、二人組になって動きを付けて「カノン」を表現する。一小節遅れの2声のカノンが、形となって見えたとき、音程やリズムの複雑さも溶解し、Lento cantabile のこの曲の美しさを味わうことが出来る。減5度が気持ち良く歌え、長・短2度音程も自然に正確にとらえられるようになる。リトミックにより、聴覚の繊細さとリズムの感覚、神経の微細な伝達が刺激され、音楽を深く理解できるようになることを実感する。

「ダルクローズ・リトミック」についての講演もあった。
パワーポイントを使ってとても良くまとめられた内容でわかりやすかった。特に、ジュネーヴの音楽院の社会的役割について、ご当地のリトミック状況も交えてのお話は非常に興味深かった。

また、「音楽性を伸ばすという事は、音楽家になるという事ではない」という言葉は、リトミックという音楽のための音楽による教育の奥深さを顕わしていると思った。

今回の講習会に向けるシルビア先生のメッセージが「リトミックをとおして、人としての感動に満ちることを祈ります」と結ばれていたが、私なりに深めることが出来たようである。

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