リトミック事情

Jaques Dalcroze「ダルクローズ・リトミック」・・・
このワードの「中身」を知っている人は、今の日本にどのくらいいるだろう・・・?
多分、数千人くらいのものではないかと思う。

「リトミック」は、巷に溢れているのに何故?
多くの人(リトミックを教えている人を含め)が「ダルクローズは難しいから・・・」と言うだろう。
そう、リトミックは習うことはとても楽しいけれど、きちんとした内容を教えることは易しいことではない。

「リズム」「ソルフェージュ」「即興」と3科揃って、「リトミック」である。
「ダルクローズ・リトミック」を教える先生は、これら3科を自分の生徒に合わせて、自分でテキストや教材を全て作る。
反対に言えば、自分でソルフェージュや即興のテキストを自分の生徒の為に作れるほどの勉強をして初めて、国際免許を持ったリトミックの先生になれるというわけなのだ。

では、「ダルクローズ・リトミック」の子どものための教室では、とても難しいことをやっているのだろうか?
そんなことは、全くない。
子どもたちの年齢に応じた運動能力や理解力に合わせた活動の中で、お母さんやお友達との触れ合いを楽しみながら、音楽に親しんでいる。
「楽しく、力をつけていっています」と、お母様方は口を揃えておっしゃる。

例えば、こんな感じ。
○ リトミックを始めた頃からすると最近は音に合わせた動きが少しずつ出来るようになってきました。そして何より本人が楽しんで参加していることが一番です!先生のお話も落ち着いて聞けるようになり、集中力がついてきたのを感じます。
○ リトミックを始めた頃は、曲にあわせて踊っていましたが、最近は歌も自分で上手に歌い表現しています。ママは毎日、癒されています。
○ リトミックを通して少しずつ自信もついてきたようで、普段の生活面でも以前に比べ積極的に行動したり・表現したり等、変化が出てきました。とても嬉しく思っています。本人もリトミック、とても楽しんでいます。
○ 当初は「動かしてもらっている」感が強い娘が、レッスンを受ける内に自発的に動けるようになり、動きに表現が付いてきたこと、とてもうれしく思っております。これからも楽しんで続けてほしいと思います。
○ 家での様子も音楽を『まさに楽しんで』います。お友だちや先生に会うことを毎週楽しみにしています。最近はレッスンが終わると習った事を自分なりに復習(?)している姿がとても面白いです。

そして、
「ダルクローズ・リトミック」の先生は、子どもから大人までを教えるだけのレッスン内容を学んでいるから、子供たちの成長に合わせて、自由自在に多くの引き出しからプランを提示し、今必要なことを上手にアレンジできる。
これだけしか、教えられません・・・という事はない。

また、レッスンは生徒さんに合わせて一緒に作り出していくものだから、常に試行錯誤。いつまでたっても、その一瞬が勉強なのだという心構えの必要性も十分わかっている。

そんな、先生たちのことをまだまだみんな知らない。
免許保持者が全国でもまだ数十人という数だから、仕方ないと言えば仕方ないかもしれないが。※1

ある お母様(ご自身も音大でピアノを学ばれた方)から、こんなお話を伺うことができた。

《リトミックは、リトミックと称して様々な方が様々なことをしているので、通うママさんたちもなんとなーく子どもが楽しそうならなんでもいいやといった感じなんでしょうね・・・
私も先生に辿りつくまでに、ある大手デパートで行われているリトミックの体験にも行きましたが、あまりの子供騙しに愕然としました。
ただ私も、偶然にもリトミックの勉強をしている友達にひと通りの知識を教えてもらって、リトミックの教室を廻っていたので、それが子供騙しとわかりましたが、何も知らなければ『此処でやっているならちゃんとしてるだろう』と、信じてしまっていたかもしれません。
リトミック探しで、親もある程度勉強してから教室探しをしないといけないんだなと、勉強させていただきました。 》
とのこと。

国際免許を持っている先生たちは、こんな素敵なレッスンをしているんですよ!!
と、もっと発信していく必要があるのではないかと思っている。
どのような形でどのように・・・?

私たちの今後の課題でもあるだろう。

ダルクローズリトミックの子どものための教室が、もっと一般的になるような社会になってほしいと願っている。

お近くに「ダルクローズ国際免許」を持った先生のお教室があったら、どうぞ一度門を叩いてご覧になってください。
決して敷居が高いなんてことは、ありませんよ!

 

※1・・・2012年9月現在、100名を超える