認め合う力

にじ01先日、保育園にて職員研修としてのリトミック講習会をさせていただいた。

長い人で7~8年の経験がある。

この園ではダルクローズの理念に基づき、保育士自身が「ソルフェージュ」「リズム運動(リトミック)」「即興」の3科目から構成されるダルクローズ・メソードのレッスンを受け、その体験をとおし「リトミックとは何か?」をしっかりと把握しながら、保育士自身が日々の指導案を立案し、子ども達へのリトミック指導を行っている。

このように一口で言ってしまうことは簡単だが、本当に真摯にリトミックを学び、指導することがいかに難しいかを知っている方にとっては、これがどれほどの努力を要し、涙しながら方法を模索してきての結果であるか、お分かりいただけるかと思う。

さて、その苦労話はまたの機会にということにして・・・

 


こうしてリトミックを学んできた先生たちは、音楽的要素への知識や理解も増え、また音楽を聴き取り、音楽に応じて動けるようになってきている。

この日は軽いボディテクニックの後、まずVivaldi 作曲 ~Four Seasons~「春」を聴きながら 動くことから始めた。耳と体の目覚め!・・・というところ。

今回は、子どもを指導する上で何よりも必要な、共感という感性にフォーカスして一日の研修を進めていこうと思っていたので、曲に合わせて動きながら

「一人で動くのではなく、周りと協調しながら対話するように動く」というところまで発展させることを試みてみた。

みんな頭では分かっていても、お互いに即時にどうすればよいのか・・・うまく反応し合うことが出来ず、この時点では小さな対話にとどまった。

リトミック経験が長くなると、実はこの「自然に自らの周囲の空間を意識し、他者と息を合わせ同調しながら活動していく」という能力が磨かれてくる。

そのねらいから、次に、静かに寝転んで目をつぶり呼吸を意識し、呼吸から生じる動きで、空間や他者を意識するという活動に移り、次第に音楽をつけ、変化したことを感じ取ってみた。

このコーナーの後のディスカッションでは、多くの感想や意見が出たが、ほとんどの人が研修後のレポートで振り返り、職員同士・また職員と子どもとの・子ども同士、それぞれのコミュニケーション力をつけていく意味や必要性・指導案への応用への考察を深めていた。

これを伏線として、子どもへのリトミック指導を進めていくときに必ず必要となる、2倍関係の音符、バイナリ―ビートとターナリ―ビート、スキップ・ギャロップ、リズムパターン、カノン、声・オノマトペとジェスチャー、などの各課題へのレッスンを進めた。

またティーチング指導では、指導案の書き方について、各年齢に応じた対応について等の指導を行った。


以下、その中でどのようなことを学んだか、レポートから少々抜粋してみる。

・音の開始・終止など意識できていない部分があったことに気付いたので、適確に行っていく事が大事とわかった。子どもの成長にあった活動を加えていき、テンポやニュアンスを変えて楽しく表現させていきたい。そして子どもたちの活動がどのように変わり、子ども達が変化をどのように感じ取ったかをキャッチしていけるようにしたい。

・一つの活動を様々なパターンに膨らませていけることを知った。そのいろいろな活動パターンを自分が動いてみることで、楽しく音符の違いを感じ取れた。違いを感じ取れるようになると、リトミックはどんどん楽しくなり、より一層積極的に集中し、違いを感じ取れるようになってくると思う。この様に少しの変化や、様々な表現を子どもたちに提供できるよう、その引き出しを増やしていきたい。

・発見すること、感じること、違いに気付ける楽しさ、自分で考えること、友達の姿をよく見ること、このような力を伸ばすことにつながるようにするためのリトミックが必要だと感じた。

・自分のしていることが相手にどのような影響を与えているのか、それを意識することはリトミックだけでなく普段の保育でも必要なこと。相手がいるということを常に意識し、いい影響を与え合うことが出来るようになっていきたい。

・子どもたちはリトミックをとおし音に触れ合い、心を落ち着かせ、音楽が好きになる。頭を使い、その信号を身体でコントロールすることや、また逆に心で受け取り枠にとらわれず表現することを学んでいく。可能性を引き出していきたい。

・日々のテーマの取り上げ方や、指導方法、音楽的目的以外のねらいを保育者自身が、子どもの姿を見つめながら判断していかなければならない。

それぞれ、人間教育としてのリトミック実践の具体化とその方向性が、しっかりと捉えられている。


研修の最初にうまくいかなかった「全員で反応し合う」ということも、順を追い活動ごとに考察を深めながら、いくつかのコーナーを経て、研修の最終の活動として再度やってみた時には、「対話しなくちゃ楽しくないわ!」とばかりに、丁寧な動きへの留意とともに自然な賑わいの空間が上手く持てていた。

私自身の体験からも、現場の悩みの中には、「職員同士の和を持つことの難しさ」があると思う。今回、ある先輩保育士の研修レポートに

・私職員同士もしっかりとコミュニケーションをとり、相手の悩みや苦しみをくみとり、一緒に考えたり喜んだりすることを今より多く考えていかないといけないと思う。

とあった。なんと素晴らしい気付き!


さて、数年のキャリアを持つ先生に、リトミック経験の中から得た「リトミックへの理解」を質問してみた。

それぞれの個性に応じて、様々な側面から述べられている。

保育・教育の場でリトミックを実践されておられる方々への参考として、記させていただく。

「リトミック」を指導するにあたっては、各年齢に合わせた内容選びを考えることから始まりますが、その中で子ども達と共感したり子ども達に達成感を与えられたりすることが出来、より近くに子ども達を感じることができます。同時に集団の中で個々の様々な発達(心と身体、理解力など)が見えてきます。見えるというより、見ようとし、子どものサインも細かくキャッチしていけるのではと思います。
リトミックには常にねらいや目的があり日々継続性があります。手段や方法に正解や間違いはなく、自分のカラーや自分らしさがだせるとも思います。

保育者にとってのリトミックとは、保育者自身がどのくらい音楽のことを理解しているかということも大切ですが、それよりも感性の豊かさが求められていると思います。
その為には、一つのことからイメージを膨らまして活動を発展させ、その目的を子ども達に発見させ、音楽に合わせて身体を動かすのはとても楽しいと感じさせることを目指したいです。
そして自分自身で分析できる課題で興味を持たせ、自発的に活動していくことが大切だと考えています。

リトミックを通し様々な感覚、感性、運動神経、コミュニケーション能力が養われると考える。<自分でする>という事を最終目的にする事により、自立にも繋がると考える。よって、保育士自身も優れた上記の事柄が必要不可欠である。日常生活や自然現象にもアンテナを張り、適した題材選びをする事も必要である。リトミックは、細かな計画の元に進め、しかしこども自身から発された事も臨機応変に取り入れ進めて行きたい。その上で音楽を自然に感じるままに表現できれば、と思う。

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