アンサンブル発表「リコーダーアンサンブル」と「合唱」

~スプリングコンサートレポートNo.2~

音楽を学ぶことは、楽譜を読むことだけでしょうか?

今年のスプリングコンサート:アンサンブル発表では、リコーダーアンサンブル・合唱・合奏・連弾という4つのアンサンブル形態での発表にチャレンジして、音を合わせるということの裏側にある『聴く・待つ・合わせる』という社会的な学びの側面を掘り下げました。

アンサンブルを楽しむことは、ダルクローズ教育の視点から言えば、「音楽によるコミュニケーション」という非言語的なスキルを育む体験です。言葉を使わずとも、音のタイミング・強さ・呼吸を通じて人と対話する力——それはステージ本番だけでなく、練習の過程でも少しずつ育まれていきます。聴く、感じる、合わせる、調整する。アンサンブルの練習は、そのひとつひとつが音楽的・社会的なコミュニケーションの学びそのものです。

リコーダーアンサンブル

今回初めての試みでしたが、新鮮な発見の連続でした。「学校でやったけど、あまり音が出せなくて」という子がいる一方で、最初から安定した響きを持つ音を出せる子もいて、ピアノの演奏力とは別の感覚やセンスがあることを改めて実感しました。楽器が変わると、子どもたちの違う一面が見えてくる——これもアンサンブル体験の大切な収穫です。

曲目は、みんなで話し合ってジブリ作品から「海の見える街」「人生のメリーゴーランド」「風の谷のナウシカ〜オープニング」の3曲を選びました。自分たちで選ぶという過程も、主体的に音楽と関わる力を育てる大切な一歩です。

息の使い方やタンギングの基本を確認し合い、2オクターブの運指練習・楽譜読みまでをレッスン内で行ったあとは、パート練習を子ども同士に委ねました。「出したいと思えば音は出せる。自分で工夫してみよう」——その言葉を受けて、それぞれが考え、試していく姿がありました。合計2時間ほどの練習で迎えた本番でしたが、仕上がりの完成度よりも、自分でやり遂げようとする力が育ったことに手応えを感じています。

 

合唱は、ダルクローズのソルフェージュレッスンで積み重ねてきた学びの成果発表という側面があります。

レッスンでは、子どもたちを3グループに分け、三和音を役割分担して歌う練習を続けています。各グループが一音ずつ上下しながら、変化していく和音の響きを全身で感じ取る——そうした訓練を通じて、音程・和音・ハーモニーへの感覚が耳と体に根づいていきます。最近は美しいハーモニーが生まれる瞬間も増え、声を合わせることの喜びを実感できるようになってきました。

今回選んだのはジョン・ラター作曲「5つの子どもの詩」よりの一曲。子ども向けの合唱曲とは一線を画した、繊細で上質な音楽です。声そのものの洗練はこれからの課題ですが、曲の美しさに支えられながら、子どもたちは音を重ねる楽しさを存分に体験することができました。


ダルクローズのレッスンで培ってきた「音楽への即応力(=状況を瞬時に判断し、自分の行動を調整する力)」——瞬時に聴き、感じ、表現する力——を、今回の舞台でのびのびと発揮することができました。
人と音を合わせ、聴き合い、ともに表現を作り上げていくこの体験が、子どもたちが人と関わりながら人生を豊かに広げていく、ひとつの糧となってくれることを願っています。