〈発表会2018〉開催しました

11月18日(日曜日)、春に引き続き秋の発表会を無事に開催・終了することが出来ました。
今回は、個人のピアノ発表の他に、幼稚園生から小・中学生までの幅広い異年齢の生徒さんたちが一緒に作り上げていける表現の舞台発表と、小・中学生が最近のグループレッスンの中で学んでいることが、会場の皆さんにも「音楽」について一緒に考え学んでいただける機会になるような、「研究と演奏」をミックスした舞台発表を試みました。

1.舞台発表

 ~ジャングルの一日~

♪この作品は、アメリカの音楽家ジョン=ジョージにより作曲された、ジャングルの仲間たちをイメージしたピアノ学習者のための短い12曲から成る小組曲です。ピアノに合わせた楽器の音、曲に付けられた短い詩も曲を盛り立てています。私たちはこの楽しい曲に、さらに動きによるパフォーマンス、また曲を練習する中で感じたイメージを絵に描き、途中には、ボディパーカッションの曲も織り交ぜ、音楽と絵・動きによる舞台を作りました♪

① ノソノソ象さん
② ピョンピョンガゼル
③ ニョロニョロヘビくん
④ 土人の踊り
・(ボディパーカッション曲)  RockTrap
⑤ ジャングル・リヴァーは流れ…
⑥ ワニくんの日なたぼっこ
⑦ モソモソ虫くん
⑧ 忍びのタイガー
⑨ ランの花咲く
⑩ ペチャぺチャヒヒくん
⑪ 大きなぶどうの木
⑫ ジャングルの夕焼け

音楽(ピアノと楽器)・台詞の読み・動き・みんなの描いたイメージ画とを こうして舞台上で合わせてみると、想像した以上に素晴らしい出来栄えになりました。みんな音楽に合わせて伸び伸びと自主的に動き、ピアノと楽器のアンサンブルも生き生きと躍動感溢れ、動物たちの様子が表現できていました。小学生以上の台詞の読み方も表情豊かでそれぞれの想いが伝わってきました。練習する中で感じたことを自由に描いたイメージ画も、いずれもとても味のあるもので世界観の共有が出来ていることに驚かされました。

2. ~ピアノ発表~

1.「聖者の行進」 アメリカ民謡/「マーチ」外国曲
2.「塔の鐘」ギロック作曲/「オモチャのきかんしゃ」高橋正夫作曲
3.「はずんだボール」田丸信明作曲/「うた」ゲジケ作曲/「スクエアダンス」ギロック作曲
4.「あのね」佐藤臣作曲/「道化師」ギロック作曲
5.「ライオンの行進」サン=サ-ンス作曲/「ローラースケート」ギロック作曲/
「タランテラ」外国曲
6.連弾―もりのおんがくかいより―「キャンディーワルツ」「ささぶね」轟 千尋作曲

ピアノを弾き始めて一年経っていない幼児さんたちの可愛らしい演奏、初めての発表会ながらいずれもしっかりとしたピアノ曲に挑戦し、自信を持って弾くことが出来ました。みんな舞台で演奏することを楽しみ、堂々とお辞儀をする姿に感心させられました。

3. 舞台発表

 ~バッハ インヴェンション~ ―分析と鍵盤ハーモニカ演奏―

♪「音楽の父」と称されるヨハン・セバスチャン・バッハが作曲した、クラヴィーア学習者のためのインヴェンションを曲分析して紐解きながら、ポリフォニー音楽の楽しみ方を発表しました♪

バッハを弾くうえで大切な「曲の構造を知り ・ 2声部をよく聴き合い楽しく弾いていけるようにしていく」準備として、鍵盤ハ-モニカによるアンサンブルで先ずその音楽に親しんでみることにしました。
グル-プレッスンの中で、曲を知るために必要な分析を皆で一緒にやり始めてみると、これまでリトミックやソルフェ-ジュレッスンの中で拡大縮小、ヘミオラといったリズム課題、クレフ読みによるシークエンスや転回などに遊びのように触れていたこともあり、思った以上に平易にすんなりと理解できていました。鍵盤ハ-モニカで演奏してみるという事も、フレ-ジングやアーティキュレ-ションへの意識付け、また自分の音と相手の音をよく聞き合いながらポリフォニ-を演奏するという耳の良い訓練になります。バッハの音の世界にとても楽しそうに触れている子ども達の様子を見ながら、「これを舞台で発表できないかな」と思い、学校での自由研究発表のように会場の方々に伝えていくことに取り組んでみました。
―――(本番では会場の方々により分かりやすくすることを優先したため、パネルを並べて表示しましたが、練習段階では発表者が挿し棒を持ち、パネル担当者が説明内容に応じてパネルを提示し、発表者自身が音型を指しながら説明をするという発表形式でした。)
わずかな練習時間でしたが、役割分担の意識の高さなどは小学生とは思えないほどで、こういう所もリトミックっ子ならではの力だと思います。お家の方々も本番のスム-ズな流れや仕上がりの良さに感心しておられました。―――
説明と演奏の組み合わせにより、音楽の聴き方が深まり、会場の方々にもバッハの楽しさが伝わった様でした。もちろん、発表したみんなも良い勉強が出来たし、会場からの感想も「ハイレベルながらもわかりやすい説明で引き込まれました」「小学生にうちからあのように勉強し、知識を深めるのは本当に素晴らしい試みですね」など好評でした。

4. 特別講演

 ~左手のピアニスト・智内威雄先生によるレクチャーと演奏~

急遽お願いした講演でしたが、幕間のわずかな準備時間の中で、私たちの発表内容を即座に汲みとり、大事なことを重複・補完説明しながら、バッハの音楽のさらに深い精神性の部分にも触れる、素晴らしい重厚なお話と演奏をしてくださいました。
バッハの時代の人々と音楽のつながりの特性や同じコ-ド進行による違うタイプの曲の紹介などなど、とても密度の濃い内容でした。先生の高潔なピアノの音色とバッハへの造詣の深さは、会場の皆さんの心の中の音楽の扉を更に大きく広げるきっかけになった事と思います。
本当に貴重な機会をいただきました。

5. 表彰式

6. ~ピアノ発表~

♪今回は、世界や日本の歴史を交えながら音楽を楽しんでみたいと思い、出来るだけ色々な作曲者の曲を選び、音楽史をテ-マにしたプログラム順にしてみました。

1.「ミクロコスモスNo.126“変拍子”」   バルトーク作曲
2. 「ロンド・トッカータ」   カバレフスキー作曲
3. 「ブランコに乗った豹」   ハチャトゥリャン作曲
4. 「ワルツ・スケルツォ」   ショスタコーヴィッチ作曲

5. 「ガラスのくつ」   ギロック作曲
6. 「飛翔」   ギロック作曲

7. 「フランス人形」   湯山昭作曲
8. 「チューリップのラインダンス」   平吉毅州作曲

9. 「物語」よりⅠ金色の亀を使う女   イベール作曲
10. 「物語」よりⅡ小さな白いろば   イベール作曲
11. 「物語」よりⅣおてんば娘   イベール作曲

12. 「ガヴォット」   バッハ作曲
13. 「ソルフェジェット」   C.P.E.バッハ作曲
14. 「エリ-ゼのために」   ベートーヴェン作曲
15. 「7つのバガテルよりNo.1」   ベートーヴェン作曲

16. 「タランテラ」   ブルグミュラー作曲
17. 「ホフマンの舟歌」   オッフェンバック作曲
18. 「紡ぎ歌」   エルメンライヒ作曲
19. 「アジタート」「朝の鐘」   ブルグミュラー作曲
20. 「紡ぎ歌」   メンデルスゾーン作曲
21. 「子犬のワルツ」   ショパン作曲

22. 「幻想曲」   モーツァルト作曲
23. 「スケルツォ・ワルツ」    シャブリエ作曲
24. 「即興曲 op.90-4」   シューベルト作曲

ピアノ曲としての名曲ばかりではありませんが、子ども達の弾ける曲でも音楽史の流れのなかで聴いていくことは、音楽の楽しみ方の一つの試みとして面白いものになったと思います。
私たちの学ぶピアノ音楽は、その殆どがヨ-ロッパ文化の流れを汲んでいます。ヨーロッパの歴史を知り、また日本の歴史とも照らし合わせながら比較してみることは、日本人としての自分たちを色々な角度から知ることになり、これからの社会の担い手になっていく子ども達の良い学びになると思います。
今回の発表会準備では、小学5年生以上の人に「作曲家・曲調べプリント」にも取り組んでもらい、自分自身で学び取ること、演奏する上で必要な知識や理解を深めることにもトライしてみました。それぞれが書いてくれた内容から、自分自身の言葉で考えていく姿勢が感じられ、それがピアノの演奏にも表れているように思いました。

私も海外生活をしていた時、ピアノが弾けたことで様々な国籍の方々との出会いのチャンスがありました。中でも、アメリカ人の家庭の中・高生の兄妹にピアノを教えた経験は、私が「音楽教育」について再考していく上で大きな転機になりました。彼らがアメリカで使っていた教材をレッスンで使ったことも、日本のカリキュラムとの差異を知ることにもなりましたが、何よりの違いは、欧米人の「音楽は教養である」との確固とした捉え方でした。文化遺産であるクラシック音楽に多く触れ、知識を持ち、音楽学的にまた美学的に思索を深めていく事は、人格形成上にも非常に大切なことであるという捉え方で、ジャカルタというアジアの地においても、欧米諸国の人達のそういう音楽の捉え方が生活スタイルにも表れていて、日本社会との違いを痛感しました。もう約30年も前のことになりますが・・・

今、教室の進め方としてヨ-ロッパ・アメリカで音楽教育の根底にあるダルクロ-ズリトミックやヨ-ロッパの伝統あるピアノ奏法であるツィ-グラ-奏法を取り入れているのもこういった理由です。
音楽を学んでいくという事は自分で考えたり、感じたり、研究したりすることで、この学びが教養となってみんなの研究心や想像力の開発に結びついていくように、これからもレッスンしていきたいと思います。
最後になりましたが、生徒の皆さんやご家族の方々、また会場にいらしてくださった皆様のお力で素敵な発表会が出来たことを感謝申し上げます!

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