7-8月 PTNAコンペティション・ステップの結果

日頃のレッスンや発表会だけでは補えない、ワンランクアップのステージ経験をしよう、また、審査員の先生方から様々な方向からのアドバイスをいただき、自分の演奏にさらに磨きをかけていこう、ということで、希望者の方々がコンペティション・ステップに参加しました。

 

【ピアノコンペティション2018】

B級 —1名参加 受賞≪本選優秀賞≫

小4男子 バロックスタイル:クレープス/アレグロ

               クラシックスタイル:ク-ラウ/ソナチネ ハ長調 Op.88-1 1楽章

               ロマンスタイル:レヴィ/メヌエット Op.30-5

               ムニエ:木苺

・リトミック歴9年目、ピアノは年中から始めました。お母様が言われるには、「一度聞いた曲は覚えている」という耳の持ち主です。ソルフェ-ジュの小曲でも、とても音楽的に歌え、小さいころやっていたバ-ナムでも、機械的になりがちな音をとても音楽的に、伴奏と合わせて弾けました。指の関節が柔らかく、大きな音を鳴らす弾き方はしていません。これまでのコンペの講評にも「しっかりと音を出して」と書かれてきましたが、その分「音楽性」を評価してもらえるよう、様々な方面から頑張ってきました。これまでも「丁寧に弾けている」「素直な表現で、良い響き」「美しい音」とコメントしてくださる事もありましたが、今回のコンペでは、「手首をうまく使ってやわらかい音で伸びやかに歌えています」「清潔感のある音楽」「安定感がある」といった音楽的内容を評価していただけたようです。「ゆっくりと弾き、音を磨き上げていく過程の中で、楽譜に書かれていること・作曲者の意図を読み取って、音楽的な意味を深めて表現していく」という練習方法も、だんだん身に付いてきました。今年は、「賞をもらう事より、自分の納得のいく演奏が出来るように、限られた時間の中で、集中して自分の意志で取り組んだ」のだそうです。本選の演奏後には「89%弾けた」と自己評価していました。これから、学んでいくことはまだまだたくさんありますが、今回の受賞に自信を持って、持っている力を益々伸ばしていけるように、進んでいって欲しいです。

 

【PTNAステップ】 7月宝塚

応用1 — 3名参加(合格)

小2女子 課題曲:J.S.バッハ/ポロネ-ズト短調BWV Anh.119

               自由曲:ギロック/秋のスケッチ

 ・リトミック歴7年目で、とても音楽的に動ける子です。補足リズムを表現する時も、音のあるところ・無いところを見ている人にも伝わるように動き分けられ、またフレーズの表現もエネルギーの流れに沿ったスピードの変化を感じ取れています。自然の中で遊ぶ経験も豊富で感性豊か、作文も上手で、物事をまっすぐに捉えて伝えることが出来ます。ピアノを弾き始めて2年半、未だタッチが浅く、思い通りの音の表現ができにくいところがありますが、ピアノが上手になりたい!という強い気持ちの持ち主なので、これからの成長が楽しみです。審査員の先生方にも、「音楽の表現が素敵」とコメントいただきました。

 

小3女子 課題曲:作曲者不詳(J.S.バッハ編)/メヌエット ニ短調 BWV. Anh.132

               自由曲:カバレフスキー/トッカティーナOp.27-12

 ・未就園児の時からリトミック教室に通い、小学生になってからダルクローズ・リトミックを始めました。知性的な理解力の持ち主で、楽典要素についての質問をすると、的確に文章化してこたえられます。音楽の流れを大きくキャッチして説得力のある弾き方が出来るので、繊細な音のニュアンスの表現力について意識が向上してくれることを期待しているところです。バッハはリピートで装飾音符を多用して楽しみました。また、トッカティーナの左手のアーティキュレーションを上手に弾けたことも高評価をいただきました。

 

小5男子 課題曲:ギロック/手品師

               自由曲:杉本竜一(川田千春編曲)/BELIVE

・「妹がやっているリトミックがとても楽しそうだから…」と音楽で動く楽しさに興味を持ち、3年生でピアノを始めました。当初はドレミの並びも音符の事も全く知識も無い状態でした。ピッチの違いを聴き取ることから ハミングで聴き取った音を階名に変換すること、5線上の音符の上下の向きと鍵盤位置を感覚的に捉えるまでに、半年以上かかりました。が、リトミックで動いたことから思考し、音楽の内容を学び取っていく(例えば・・・タイム・スペース・エネルギーの関係について学び それが音楽の表現にどのように結びつくかを知る、フレーズについて学び 曲の中で実際にパターン化して使われている様子を知る等々・・・)ことが得意で、楽譜・鍵盤と格闘しながらも、音楽への積極性を失うことなく、レッスンしてきました。指の動きも硬く、止まらずに弾き通すことが出来なかったので、「ステップに出て、演奏することを学ぼう!」と参加を促しました。学習意欲の高い子なので、演奏に必要なスタッカートやレガートの奏法の違いについて、手の動きと音の響きの違いを出来るだけ可視化し、楽器の構造を知って自分で考察していくようなレッスンにしました。メロディと伴奏のバランス、規則正しいテンポのキープについても音への感覚を磨く、強弱の流れと体の動きのスムーズな連動を習得するなど、試行錯誤でした。良い評価をいただき、「ますますピアノが好きになった」らしく、彼のこれからの音楽の楽しみ方の様子を見守ることが、私も楽しみです。

 

応用5 — 1名参加(合格)

小5女子 課題曲:J.S.バッハ/インヴェンション 第14番 変ロ長調

               自由曲:湯山昭/シュ-クリ-ム

・算数が得意な頭脳派、いつも正確な譜読みと指先のコントロ-ルに感心させられます。ショパンを弾いても、バルトークを弾いても、バチっと音を出してきます。指番号についても自分で考察可能です。そんな彼女の課題は表現力。テンポルバートやフレーズ間の呼吸、音色の変化について、自然な流れを表現できるようにと、レッスンを重ねる中で、この頃 演奏が変化してきました。リトミックで自分を開放して身体表現するのに慣れてきたこと、フォルマシオンのテキストで様々なジャンルの音楽をたくさん経験してきたこと、 様々な体験からピアノで表現することを楽しめるようになってきました。 実は2年前にコンペで予選通過できず、ピアノに対して少し尻込みしてしまったのですが、いろんなレッスンを重ねてきて成長した実感を持ち、自信をつけて欲しいと思いステップに参加してもらいました。バッハでは、楽しくユーモアの感じられる表現、シュークリームでは、リズミカルな音楽の流れを評価していただきました。これからも どんどん表現することを楽しんでいきましょう。

 

【PTNAステップ】 8月西宮

応用3 — 2名参加(合格)

小2男子 課題曲:作曲者不詳(J.S.バッハ編)/メヌエット 変ロ短調 BWV. Anh.118

               自由曲:チマローザ/ソナタ 第51番 C.51 ト長調

・常に何かに興味を持ち、自分で解を導き出すことが好きで、本が大好きで、おしゃべりも好きで、読譜が速い男の子です。体格が小さいので、手の骨格が未だ柔らかく、重量感のある音はまだ出せません。が、筋肉を固くした無理な弾き方はしないで欲しいので、音に集中し良く響かせていく事を習得中です。ツェルニーやソナチネを使ってほしくないというお母様の希望から、ブルグミュラーやギロックで小品に触れ、ルモアーヌの練習曲、プレ・インヴェンション、シュ-マンなどのロマン派の子ども用曲集、カイエ・ドゥ・ルモワンヌなどの曲集でレッスンしています。今回は、古典派の音楽に親しんでもらおうと、チマローザのソナタを選びました。S評価の付く良い演奏が出来ました。バッハは、メヌエットの3拍子感や、ノン・レガートながら少しテヌートする音の出し方に苦労したのですが、「品のある演奏」と評価コメントをいただきました。

 

小4男子 課題曲:A.スカルラッティ/スケルツァンド

               自由曲:N.デロ=ジョイオ/バガテル

・サッカー少年で動く事はとても得意ながら、あまりおしゃべりをしない子なので、毎週作文を書いてきてもらっています。すると驚くほど、人への観察眼を持っていて、お友達の事を熱く褒めたり、自分の思っていることも楽しく言葉にして、その文章に思わず惹き込まれます。言葉は少ないけれど、インパクトのある表現の持ち主で、音楽にもそれが現れているようです。とても心優しいナイスガイです!  昨年は応用1で参加しました。リズミカルな曲が大好きなのに楽譜からリズムを読み取るのが苦手で、教則本が思うように進まなかったのですが、最近楽譜の書き取りを始めてみたら、リズムにめっぽう強くなってきて、自信が付きました。じっくりと曲に向き合い、1小節だけを何度も繰り返して 繊細に音を弾き分ける練習が出来るようになってきました。S評価もたくさん付き「短調と長調の質権を変えて美しい内容」「カラフルに転調していく楽しい内容」「ユーモアを持った快活な演奏」と、コメントをいただきました。

 

本当に一人一人が、頑張って成長できた機会になりました。

こういう舞台があることに、また、子ども達にこの経験をさせてくださったお家の方々に、感謝しています。