コンクール終了!受賞おめでとう!

スター

舞台の上は、別次元 。
コンクールは、日常では味わえない緊張の中で、たった一人で、誰の助けも借りることなく自分を再発見できる体験。
「本番」に至るまでの時間、そして「本番」、またその結果から本当にいろいろなことに気付くことができる。

コンクールに向ける心構えとして、
「芸術というものは、答えのあるものではなく、人それぞれに捕え方が違うものなので、他人の『評価』は気にしない。」という、藤原由紀乃先生のアドバイスを大前提として、参加したお二人とも、自分にとって「コンクール参加」がどういう意味があるのか、それぞれにしっかりと考え、臨んでくださった。

「銀賞」をいただいた、6年生。

中学受験に向け塾に通いながらも、「勉強だけに偏った生活にならないようにしたいし、ピアノを弾くことが気分転換にもなる」と、無理をしないように、でも弾く時間は集中して取り組まれた。 受験というものも自分を鍛えることになるけれど、彼はピアノのレッスンも続けることで、時間の使い方、日常生活のコントロール能力をより身に付け、そしてピアノも上達した。

2曲中1曲は完璧に自分のものにできたが、もう1曲はまだ完璧とは言えず、受賞は思いがけなかったけれど、本当に嬉しいね!
日々のコツコツとした努力が人としての基礎を固め、「本番」につながったという体験になり、自信になったのではないでしょうか。

「武骨」だが「誠実にひた向きに打ち込む」、その心の熱さが音楽に現れ、溢れてくるエネルギーに惹き込まれる。
自分の納得のできる演奏を目指して、益々成長されることを!

ディプロマ賞をいただいた、高校生。

ブラスバンド部でサックスを吹き、医学部をめざし塾通い。 でも、「舞台」に強くなりたい、自分に挑戦したいということでコンクールに。
音楽が好きだから、心が伝わってくるし、何でも理解が速い。和声や様式という楽典的内容以外の 時代背景や、作曲家の特徴もよく理解し、短時間に曲を深めることもできる。

でも、当日の演奏は、「手に違和感があり、思うような演奏ができなかった。」とのこと。
舞台に強くなるという課題に対して、自分なりの答えが出せなかったことが悔しく、練習不足が悔やまれるとの反省。日頃の練習と本番の違いに大いに納得され、「メンタル面を強くすることを目的として、もっと練習します!」と、おっとりとした中に秘められた芯の強さが頭をもたげてきたかな~と、内面の変化を感じさせられた。

きっと、音楽がまたその成長に応え、一層素敵な世界の発見が出来ていくでしょうね!

お二人ともそれぞれに、「舞台」という経験により、「ピアノをする」という意味合いが、またひとつ明確になり、大きくステップアップされたのではないでしょうか。
受賞、おめでとう!!

これからをまた、楽しみに!!

そして、今回私自身もお二人の舞台での演奏を聴かせてもらいながら、自意識を持って弾き始める年ごろの生徒さんへの指導として、「ストーリーテリング」(Storytelling)ということを学んでいただこうと、次への課題が持てた。(小さなお子さんは、そんなこと理屈なしにできるという利点がある。)

一言でくくられてしまう「ストーリーテリング」という言葉、「ストーリー」とは「物語」、「テリング」は「感情を外へあらわす行為」と、実は違う方向・次元のものらしい。
これは、演技の世界で使われる言葉だけれど、音楽でいえば「ストーリー」とは、曲の分析や理解で、「テリング」がそれらを演奏としてどう表現していくかの技能、ということになると思う。
演技において「テリング」がうまい役者は、例えば「これは~です。」というセリフだけで観客を泣かせてしまうことができる。
平たく言えば、「表現力」だけれど、「演奏」を考えていくことでありながら、ピアノを弾くだけのことでもない勉強として、面白く進めていきたいと思う。