Jack Stevenson先生のリトミックレッスン

ジャック先生のレッスンは、笑顔とエネルギーに満ち溢れています。

先生が「この教育法の実践的な知識をとおして、私は音楽家・教育者としての自分の本能を信じ、自己否定することなくそれらを自由に遂行できるようになった」と述べておられるように、生徒への受容と称賛と激励の言葉がけの数々は、生徒が安心して自己解放できる土台となり、音楽への愛情を深める精神性と同時に、リトミックが「人間教育」であり、先生が「ダルクローズの教育哲学」の紛れもない実践者であり、その姿を通して「リトミック」の素晴らしさを示しておられると感じます。

リズムの起源は、ギリシア語(の詩)に由来することについて、実例を挙げ説明してくださり、先生のしなやかで躍動感ある動きとともに記憶され、先生の素敵な即興演奏にあわせて動くことで、それぞれのリズムに内在する抑揚やアクセントを深く理解できました。

また、西洋音楽の基礎となる拍子の感じ方についても、拍子の変化による各ビートの役割について、これまで学んできた視点とは違う「press感の変化」という説明に、神髄に触れたという心地がしました。クルーシスは重力に反する力であるという説明もあわせ、それを知ることにより、音楽の流れをより立体的に分析し、理解し、活き活きとした演奏に結び付けていけます。

このような、西洋音楽の本質にかかわる部分は、楽器のレッスンだけではなかなか学ぶことは出来ないと思います。よく「血の違い」などと簡単に言われていますが、リトミックは、そういう難しさを克服していけるのです。

日本における音楽教育は、世界的な視野に立ってみてみると、本当に「音楽」を伝えられているだろうか・・・と思うことがあります。
緻密な理論と、ダイナミックな表現。ジャック先生の音楽理解の深さは、どのように獲得されていくのだろう・・・?

私自身がもう少し成長したら、より先生のレッスンの素晴らしさをわかるようになれるかもしれないと、そのようにも感じます。

脳を鍛えるリトミック!?

少し前のことになるが、「空耳の科学」の著者 柏野牧夫氏と「絶対音感」の著者 最相葉月氏によるトークセッションを聞きに行った。
話は主に聴感覚がいかにイリュージョンに溢れているかという内容。視覚によるイリュージョンさながらの聴覚マジックに釘付け。ただし、音楽をやっている私たちが日頃よく言う「音を聴く」という類のものではない。正に人間の耳についての基礎研究分野の話。でも、最相葉月さんという才女が、その研究発表を実にうまく料理をして、さまざまな目的を持って聴きに来ている異分野の聴衆を満足させるものとしての話題提供に変換。
いみじくも小澤征爾さんと村上春樹さんの対談本にあった「ああ、ぼくたち音楽をやる者は、そういう聴き方をしていないんだな」というくだりを思い出しながら聞いていたら、最相さんも同じことを言っていた。

音を聴くという事は、脳の予測機能の働きが大変に作用しているということがよく分かった。「耳が良い」という事は、たくさんのことが聴こえる、細かい違いが判ることよりも、聴こえたことをどのように処理し瞬時に多くのアウトプット信号に置き換えることが出来るかという能力の事だという事も納得できた。
中でも、ミラーニューロンというものの存在の話は、ダルクローズ・リトミックをやっている私たちにとって「耳より」な話。人間の場合は、ミラーシステムと呼ばれているらしいが、その脳の連携システムにより、他人が動いている様子を見て、それが自分もやったことのある動きであると、見ると同時にあたかも自分で動いているように脳内でシュミレーションをしているということが研究結果として証明されているらしい。脳は、モノを見ているときは視覚野だけが活動するとか、音を聞いているときには聴覚野だけが活動するという単純な構造ではなく、広範なところでそれぞれが連絡を取りながら、役割を演じているらしい。「聞いた音と運動をリンクさせていくリトミックは、脳のトレーニングになる」とはリトミックをやっている私たちにとってはあたりまえに言われていることだが、このミラーシステムの話から、より根拠を帯び確信になる。「社会性」とは、脳の機能のどこかに社会性を担う中枢があるわけではなく、視覚野・聴覚野・運動野の自然なやり取りの産物といえ、臨機応変にその場に合わせて脳内をネットワーク化して協調して働かせること言えるようだ。

脳科学者の茂木健一郎さんの話にもこの「ミラーニューロン」の働きについての説明があった。

近年注目されている集団的知性(=人と人とが協力したときに出る力のこと)に大きく影響するのが他人の心がわかる社会的感受性で、これは鏡のように働く神経細胞・ミラーニューロンの働きによって生み出されるものとのこと。

またこれを発揮するのは、同じ分野を得意とする人ばかりが集まっても意味がなく、むしろそれぞれに得意な分野が異なる個性豊かな人が集まって、互いの心を感じながら協力することが最善の方法だとも述べておられる。

脳を鍛え、社会性を伸ばし、多くの人と協力しながら集団的知性を発揮していけるように、

年齢にかかわらずもっと多くの分野の方にも「リトミック」を知っていただけたらと思っている。

Silvia Del Bianco先生のリトミックレッスン

2012年早春「 リズムの森特別講習会」にてジュネーブ・ジャック=ダルクローズ音楽院 学院長:シルビア先生がレッスンをされた。
シルビア先生のレッスンは、2008年夏の名古屋音楽学校・ダルクローズセミナーでのレッスン以来2回目の受講。

このブログを読んでくださる方に、リトミックは子どものための音楽教育の導入に使われる手法であるだけではないと知っていただくきっかけになれば・・・ということで、レッスンの様子を書かせいただこうと思う。
先生のレッスンは、美しく穏やかな喋りと声、凛とした且つにこやかな表情、柔らかなピアノの音。すっきり整然としたレッスン運び。
始めこそ緊張感があったけれど、そのうちに優雅さに取り込まれるような心地よさ。まずは、会場の中を縫うように動き、共にレッスンを受ける人たちとの空間の共有を意識し、自分の身体を解放させ、次第にミュージカルホップ(音の合図)に耳を傾け音楽へと集中していく。メインテーマは 「バイナリービートの不等分割」 。(2拍子基礎リズム)4拍分のスペースの意識・動きの流れの方向・重心移動といった基本も丁寧にさらい、リズムのバリエーションごとのエネルギーの流れの質の違いを、動きの経験から言葉に置き換え、より明確にしていく。

そして、指導者の方々も多く受講されているので、レッスンプランの構築方法やレッスン段階によるピアノ即興の入れ方の違いなども説明してくださった。

また、リズム課題クリヤ後の発展(即興唱や時間の倍速変化)や、和音の聴き分けのエクササイズ例の紹介も。
例曲は、Oswald Russell : Jamaican dances, No. 2
全体を3グループに分け、メロディー・オスティナートリズム・和音の3パートにそれぞれ動きをつけ、曲を表現する。私はメロディーパートのグループ。この活動では、2種類のメロディーの違いと関連性、ABそれぞれのメロディーライン中のエネルギーの流れ(緊張・弛緩)、ダイナミクスの違い等を各自が瞬時に分析し、短時間に身体での表現方法を話し合い、自分の担当を決め、他の人の動きを感じながらそれに応じていくという、正に音楽性と人間性をフルに働かせることが求められる。オスティナートのグループは、グループ全員でうねりを表現し、ダイナミクスに応じた動きの違いを色とりどりのスカーフを使い表現効果を上げておられた。和音を担当するグループは、全体の中での専有面積を平面だけではなく立体的にもとらえ、和声機能の分析も動きの形態やスピードの違いで表現されていた。先生の演奏にあわせて全員で動き、そのダイナミックな世界に感動!参加されていた皆さんからもとても良い刺激をいただけた。

もう一時間は、「カノン」のレッスン。
レッスンプランは多様性に富み、また姿勢も動きも美しくレガートであることが要求され、全身の神経がピンと張りつめてくる感覚がわかる。空間をどう使うかにも常に注意を払うようにとの指摘に、視感覚センスを磨く大切さも実感する。

ここでも、「カノン」レッスンにおける多くの素材や段階、どのようにするとより高度なレッスンになるかまでを理路整然と紹介し解説してくださる。

例曲は、Polskie Wydawnictwo Muzyczneというポーランドの作曲家の 「Kanon・ A Round・ Kanon」という小品。
ヘ短調で書かれているが、ソルフェージュの課題にもなりそうな難しい音程の並んだ曲。ゆっくりのテンポの曲だがリズムも複雑で、フレーズの分析も譜面上からでは難解。これを数回聴き、メロディーを覚え、二人組になって動きを付けて「カノン」を表現する。一小節遅れの2声のカノンが、形となって見えたとき、音程やリズムの複雑さも溶解し、Lento cantabile のこの曲の美しさを味わうことが出来る。減5度が気持ち良く歌え、長・短2度音程も自然に正確にとらえられるようになる。リトミックにより、聴覚の繊細さとリズムの感覚、神経の微細な伝達が刺激され、音楽を深く理解できるようになることを実感する。

「ダルクローズ・リトミック」についての講演もあった。
パワーポイントを使ってとても良くまとめられた内容でわかりやすかった。特に、ジュネーヴの音楽院の社会的役割について、ご当地のリトミック状況も交えてのお話は非常に興味深かった。

また、「音楽性を伸ばすという事は、音楽家になるという事ではない」という言葉は、リトミックという音楽のための音楽による教育の奥深さを顕わしていると思った。

今回の講習会に向けるシルビア先生のメッセージが「リトミックをとおして、人としての感動に満ちることを祈ります」と結ばれていたが、私なりに深めることが出来たようである。

子育てと、絵本と、音楽と

2歳児クラス・リトミックレッスンでの一コマ。

―右手と右手で握手して、二人でクルクル回ってみましょう!音楽が止まったら反対の手(左手)に替えて、今度は反対周りにクルクル回ってみましょう!―

ママと一緒にやっていた男の子は、楽しいやら嬉しいやらでぶら下がり状態で自分の足で歩くのを忘れています。 そこで、「○○くん、ママだから引っ張ってもらえるけど、お友達と一緒だったらお友達が転んじゃうよ!ちゃんと音楽に合わせて歩こうね。」と声をかけると、ハッとした表情で、次にはとても上手く音楽に合わせて歩幅や速さをコントロールすることが出来ました。

実は、一年前の彼は、「○○しましょう!」ということに人一倍興味を示さず、マイペースにやりたいことだけ参加、もしくはエスケープ、と“みんなと一緒”が苦手なお子さんでした。

そこで、お母さまに、「今は、彼の『こうしたい!』という気持ちを大切にして、寄り添ってあげてね。」と声をかけ、童話館ぶっくくらぶのパンフレットをお渡しさせていただいていました。

言葉の意味する奥にあるもの、それを感じ取れるようになるには、小さな子どもにとってはやはりお母さんとの気持ちの通じ合いが何より必要な経験であり、絵本の読み聞かせによる子どもとお母さんの心の通い合いが、どれ程の成長の糧になるかは言うに及びません。

ここ数か月のレッスンの中で、「ゴーヤもオクラもほかにもたくさんお野菜がお父さんの畑にあったよ。」などと、肌で感じたいろいろな体験から理解力が伸びたな~と、思っていましたが、このように「こうしたら、お友達がどうなる?」と一瞬に他者の気持ちや状況を想像することができるようになったということに、絵本に興味を持ちバーチャルな実体験も豊かに持てたことで育つ「心」の成長を感じました。

彼は電車が大好きで、新幹線は何々系まで、特急列車も形や色の違いでほとんど覚えてしまっているほど。 そこで、レッスンで電車ネタでいろんな活動をしようと「はしれ、かもつたちのぎょうれつ」という本を読んであげようと思っていましたが、既にその本をお家で何度も読んでもらっていたそうで、すっかり丸暗記しておられました。

「じゃあ、○○くん、先生に読んで聞かせて」とお願いすると、彼は本当に上手に読み上げてくれて(勿論文字はまだ全く読めませんが)、絵本を通し彼の世界が大きく広がり深まったことを嬉しく思います。

子どもの集中力は、親の膝の上で育つと、私は思っています

良質な絵本にふれる機会を持つことは、心の財産になります

私自身の子育てにおいても、絵本をたくさん読み聞かせるとこができたことは、子どもたちのみならず、私自身にとっても子どもの視線で感じ考え、子どもの気持ちを理解していくことに繋がり、本との出会いに感謝しています

また、本を読み、思考の基となる言葉にしっかりと触れておくことは、何を学んでいくうえでも大切。

そんなこともあって、ピアノのレッスンでもリトミックのレッスンでも、「本を読んでね!」と、度々お話ししています。

レッスンの中で本を使う時には、音楽のように慣れ親しむことが出来るように、言葉のリズム感の良いもの、素敵なオノマトペが載っているもの、情景から音楽が感じ取れるもの、本のストーリーの流れ自体が音楽的なもの、その時々のレッスンの目的に応じた絵本を選びます。

音楽を理解していくにも言葉はとても重要。

音楽は言葉を超え直接人の心の奥底に訴えかけてくるものではあるけれど、それを語り合い、共感し合い、伝えていくためには言葉が必要。

音楽家にとっても、音のイメージは言葉で語られ、音楽を表現する語彙力は必須。反対に言葉がなければ、イマジネーションも枯れてしまうのではないでしょうか?

最後に、1998年にIBBY(国際児童図書評議会)が主催した子供の本を通しての平和を考える世界大会で、美智子さまがビデオテープによりおこなった基調講演の中のお言葉を紹介させていただこうと思います。

子供達が,自分の中に,しっかりとした根を持つために
子供達が,喜びと想像の強い翼を持つために
子供達が,痛みを伴う愛を知るために

そして,子供達が人生の複雑さに耐え,それぞれに与えられた人生を受け入れて生き, やがて一人一人,私共全てのふるさとであるこの地球で,平和の道具となっていくために。

(宮内庁HPより:第26回IBBYニューデリー大会(1998年)における皇后陛下の基調講演

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この度、『童話館ぶっくくらぶ』さまと当HPを相互リンクさせていただけることになりました。

よろしくお願い致します。

クリスマス・キャロル

12月に入り、リトミックレッスンではいろいろなクリスマスソングに触れています。

「あわてんぼうのサンタクロース」「ジングルベル」「赤鼻のトナカイ」etc.…ワクワクするような楽しい曲の数々。楽器を合わせて簡単な合奏を楽しんだり、ビート感の違いを感じてみたり、曲のテンポや曲想を変えて色々な活動に使ったみたり。

でも、せっかくだから、古くから歌い継がれている「クリスマス・キャロル」の数々を各年齢に合わせてゆっくりと味わってもらえるように、紹介しています。

「キャロル」(英語: Carol)とは、もとは中世のころヨーロッパで踊りのためにうたわれていた民謡ですが、そこから派生して一般民衆が収穫の季節・クリスマスやイースターなどのキリスト教の行事に関連して歌ったものも含み、長い間ずっと歌い継がれてきた歌です。

そしてクリスマス・イヴの夜に人々が歌う「キャロル(歌)」をクリスマス・キャロル(英語: Christmas Carol、)といい、「天には栄え」「天(あめ)のみつかいの」「聖しこの夜」「ひいらぎ飾ろう」「牧人羊を」「もみの木」「もろびとこぞりて」等々、多くの素敵な歌があります。

例えば「牧人羊を」((The First Nowell – ファースト・ノエル)はたいへん古くからあるもので、16世紀・17世紀頃にうたわれていましたが、起源的には13世紀にも遡るとされます。ドからドの1オクターヴの8つの音が、ほぼ順に並んだだけのシンプルなメロディーですが、何とも心地よく開放感があり、「喜び讃えよ」と天使たちが夜空で歌う荘厳さも併せ持っています。ゆったりとした3拍子で、フレーズの始まりの3拍目の2つの八分音符の持つ躍動感は、リズムステップをしてみるとそのリズムの持つエネルギーをとてもよく感じることができます。

1843年に発表されたチャールズ・ディケンズの『クリスマス・キャロル』の作品プロローグ部に、少年がスクルージに歌いかけるキャロルとして登場している、「世の人忘るな」(God Rest Ye Merry, Gentlemen – 神が汝の威を保ちたまわんことを、尊き方々)などにも代表されるように、古くから歌い継がれてきたものは、中世当時の旋律法で作られていますので、幼いころに歌い自然に親しんでおくことは、西洋の音楽のルーツにふれておく良い機会ともなります。

拍子、音階、音程、リズム、フレーズ、構成・・・どの曲を分析してみても、自然な音の流れの中にある美しさの秘訣に触れることができます。特に、これらの曲を歌ったり聴いたりするのは冬のこの数週間だけという季節限定であることがまた、『スペシャル』さを増しているかもしれません・・・!?

話は少し変わりますが、

ジャカルタで暮らしたことのある我が家は、暑いクリスマスを5・6回経験しました。イスラムの国でしたし、日本ほど街全体がクリスマス色に変化することはありませんでした。ホテルやショッピングモールといった特別な場所では雰囲気は感じられましたが・・・

上の娘が通ったモンテッソーリの幼稚園でもクリスマスには、ホテルのコンベンションホールで音楽会が行われました。インターナショナルの幼稚園でしたので言語は英語。2~6歳児が縦割りで一つのクラスを作っていました。

娘たちが歌ったクリスマスソングは、「Frosty The Snowman」(白いスノーマン)。よく耳にはしますが、日本語訳のない曲です。歌った本人はもう全く覚えていないようですが、長い歌詞の割には軽快なメロディーに合わせて、何とか最後まで歌っていました。

私も、自分では歌ったことのない曲で、楽しく一緒に覚えました^^v。となりのトトロの「さんぽ」に似た、元気に歩くのにぴったりの良い曲!

音楽会の最後には、大人もみんなで一緒に「クリスマスキャロル」を歌いました。

異文化の中で異文化に触れるという、ちょっと複雑な経験でしたが、「クリスマスキャロル」は、子どもたちにとっても万国共通!と再確認しました。

日本語になっていない「クリスマスソング」・・・私たちのあまり知らない「クリスマスキャロル」・・・探してみるのも楽しいかもしれませんね!

リトミック事情

「ダルクローズ・リトミック」・・・
このワードの「中身」を知っている人は、今の日本にどのくらいいるだろう・・・?
多分、数千人くらいのものではないかと思う。

「リトミック」は、巷に溢れているのに何故?
多くの人(リトミックを教えている人を含め)が「ダルクローズは難しいから・・・」と言うだろう。
そう、リトミックは習うことはとても楽しいけれど、きちんとした内容を教えることは易しいことではない。

「リズム」「ソルフェージュ」「即興」と3科揃って、「リトミック」である。
「ダルクローズ・リトミック」を教える先生は、これら3科を自分の生徒に合わせて、自分でテキストや教材を全て作る。
反対に言えば、自分でソルフェージュや即興のテキストを自分の生徒の為に作れるほどの勉強をして初めて、国際免許を持ったリトミックの先生になれるというわけなのだ。

では、「ダルクローズ・リトミック」の子どものための教室では、とても難しいことをやっているのだろうか?
そんなことは、全くない。
子どもたちの年齢に応じた運動能力や理解力に合わせた活動の中で、お母さんやお友達との触れ合いを楽しみながら、音楽に親しんでいる。
「楽しく、力をつけていっています」と、お母様方は口を揃えておっしゃる。

例えば、こんな感じ。
○ リトミックを始めた頃からすると最近は音に合わせた動きが少しずつ出来るようになってきました。そして何より本人が楽しんで参加していることが一番です!先生のお話も落ち着いて聞けるようになり、集中力がついてきたのを感じます。
○ リトミックを始めた頃は、曲にあわせて踊っていましたが、最近は歌も自分で上手に歌い表現しています。ママは毎日、癒されています。
○ リトミックを通して少しずつ自信もついてきたようで、普段の生活面でも以前に比べ積極的に行動したり・表現したり等、変化が出てきました。とても嬉しく思っています。本人もリトミック、とても楽しんでいます。
○ 当初は「動かしてもらっている」感が強い娘が、レッスンを受ける内に自発的に動けるようになり、動きに表現が付いてきたこと、とてもうれしく思っております。これからも楽しんで続けてほしいと思います。
○ 家での様子も音楽を『まさに楽しんで』います。お友だちや先生に会うことを毎週楽しみにしています。最近はレッスンが終わると習った事を自分なりに復習(?)している姿がとても面白いです。

そして、
「ダルクローズ・リトミック」の先生は、子どもから大人までを教えるだけのレッスン内容を学んでいるから、子供たちの成長に合わせて、自由自在に多くの引き出しからプランを提示し、今必要なことを上手にアレンジできる。
これだけしか、教えられません・・・という事はない。

また、レッスンは生徒さんに合わせて一緒に作り出していくものだから、常に試行錯誤。いつまでたっても、その一瞬が勉強なのだという心構えの必要性も十分わかっている。

そんな、先生たちのことをまだまだみんな知らない。
免許保持者が全国でもまだ数十人という数だから、仕方ないと言えば仕方ないかもしれないが。

ある お母様(ご自身も音大でピアノを学ばれた方)から、こんなお話を伺うことができた。

《リトミックは、リトミックと称して様々な方が様々なことをしているので、通うママさんたちもなんとなーく子どもが楽しそうならなんでもいいやといった感じなんでしょうね・・・
私も先生に辿りつくまでに、ある大手デパートで行われているリトミックの体験にも行きましたが、あまりの子供騙しに愕然としました。
ただ私も、偶然にもリトミックの勉強をしている友達にひと通りの知識を教えてもらって、リトミックの教室を廻っていたので、それが子供騙しとわかりましたが、何も知らなければ『此処でやっているならちゃんとしてるだろう』と、信じてしまっていたかもしれません。
リトミック探しで、親もある程度勉強してから教室探しをしないといけないんだなと、勉強させていただきました。 》
とのこと。

国際免許を持っている先生たちは、こんな素敵なレッスンをしているんですよ!!
と、もっと発信していく必要があるのではないかと思っている。
どのような形でどのように・・・?

私たちの今後の課題でもあるだろう。

ダルクローズリトミックの子どものための教室が、もっと一般的になるような社会になってほしいと願っている。

お近くに「ダルクローズ国際免許」を持った先生のお教室があったら、どうぞ一度門を叩いてご覧になってください。
決して敷居が高いなんてことは、ありませんよ!

「パパと一緒にリトミック」第2回終了

「音楽に合わせて動いてみたら、こんなに楽しかった!」という第1回目のご感想をいただき、『そうして親しみのもてた「音楽」に興味を持ち、お家に帰られてからも子育てに活かしていただきたい』・・・と、第2回目の内容を考えました。

音楽の内容を聴き取り、聴き取ったものを判断し、動きに結び付けていく「リトミック」は、聴き取り側の音楽経験により、その内容は全く違うものになります。

今回は、音楽家のためのリトミックではなく、お父さんが大好きな小さなお子様と育メンパパのための触れ合いの場としての「リトミック」。

そして、この講座の企画者の意図は、日本において本当の「リトミック」が普及していない状況に対し、「知ってもらいたい」ということ。でも本当の「リトミック」は、何年もかけてレッスンを受けて始めて「リトミックをやっている」と言えるほど、内容の幅も広く深いものです。そもそも「音楽」がそういうものですから、当然といえます。

という訳で、第1回目のように動いて楽しんでいただくだけではなく、

「リトミック」には音楽の要素を聴き取っていくという目的があること、

人間が言葉を持つ以前の太古の時代から存在していた「音楽」を認知する脳の部分が、(リトミックにより)音楽を分析して聴くようになることで広範囲に広がっていくこと、

様々な楽器に触れながら「音」を聞き分けていく「聴き方」があること、

遊びの中で道具を使うときにもリズムやニュアンスを感じることができること

等々、色々なことを紹介させていただきました。

「音楽」が人に与える影響は、多大なものです。

個人的・また社会的にも、知らず知らずに感知している音楽を専門的に難しく捕えなくても、自分の身近なことを通して積極的に体得していけるようになると、本当に楽しめるようになりますし意味合いがとても深まります。

この講座にご参加くださった皆様にとって、そのきっかけになれば嬉しく思います。

 

楽器の紹介は、一人一人全員に体験していただくだけの時間がなく「座ってお話を聞く」ことになってしまいましたが、お子さんもとても静かにお話を聞き、「私もやってみたい!」と興味津々。本当は、一つ一つの楽器ごとに、自分で音を出して、その音を楽しむ動きをつけたり(トライアングルでは少しやってみましたが)、楽器と楽器を組み合わせたらどんなリズムや音楽が表現できるか・・・etc.いろいろ考えていましたが、時間がなくて残念でした。

ピアノの音楽だけでなく、お家で聴ける音楽にも動きをつけて楽しめるようにと、CDの曲に合わせても動きましたが、そのコーナーも本当は、曲を聴く前にもっとピアノに合わせたいろいろな活動を体験していただくことが必要だったのですが、そのために皆さんの「体験した」という感覚が中途半端になってしまったかもしれません。

3~4回分くらいの内容を急ぎ足で詰め込んでしまいましたが、音楽の楽しみ方を「お持ち帰り」いただけましたでしょうか・・・^^v?

「パパと一緒にリトミック」

私も今回初めての経験でしたが、子どもたちが、よりダイナミックな動きが出来て本当に嬉しそうだったこと、恥ずかしがったり躊躇したりという姿がなく、「パパと一緒」というのは子どもたちにとって「ママと一緒」より自立した心になりやすいのかな・・・と、「見守る」パパの役割が子供の成長にとても大切なことを 改めて実感させられました。

2回に渡り受講してくださいましたお父さん、またパパとお子さんを送り出してくださいましたお母さん、本当にありがとうございました。

——————いただいたご感想より————–

・2週続けて参加させていただき、音楽の本当の楽しみ方をおしえていただきました。これからは、子どもと音を楽しんで遊びたいと思います。ありがとうございました。

・楽器と音楽の紹介・説明をいただき、講座が終わってからも音楽に親しめる工夫がされた講座でよかったです。

・第1回目に参加して、娘が2回目を大変楽しみにしていました。朝から張り切っている娘を見ると、私も元気になります。又、機会があれば参加したいと思います。

————- おすすめ図書 & 楽器屋さん ————–

「音楽を考える」 茂木健一郎/江村哲二著 ちくまプリマー新書

「音楽の聴き方」 岡田暁生著 中公新書

「心を動かす音の心理学 ― 行動を支配する音楽の力」 齋藤 寛著 ヤマハミュージックメディア


 

「民族楽器 コイズミ」http://www.koizumigakki.com/

 

「パパと一緒にリトミック」第1回終了 

西宮市 男女共同参画センター 市民企画講座 「パパと一緒にリトミック」第1回終了

約20組と、多くのパパとお子さまが、ご参加くださいました。

リトミックは初めて!・・・というお父さんがほとんどでしたが、みなさん「音楽に合わせて動く」ことにもすぐ要領をお分かりになり、とてもスマートに反応良く動いてくださり、楽しい講習会となりました。
子ども達も、お父さんと一緒にダイナミックな動きをして満面の笑みで、「もっとやりたい!」とのリクエスト。
お父さんも、久しぶりスキップに、「あれっ?」とご自分の身体能力の変化に気付きながら、お子さんの様子を温かく観察し「音が変わったよ!」と上手にリードされる。
親子の心が通いあう、あたたかな時間でした。
この講習会を企画してくださった、日本ギロック協会西宮支部 御子柴さま、ウェーヴの講座担当者さま、ご参加くださいました皆さまに、感謝申し上げます。

参加者の皆さまからいただいた感想カードには、

・子どもとこうしてリズムにのって遊ぶ機会はなく、貴重な経験ができ、ありがとうございました。リズムにあわせて子どもと二人で行動することはむずかしくもあり、楽しく感じました。次回、楽しみにしています。

 

・リトミックは、外国ではポピュラーだと聞いていますが、日本ではそれほどでもないですね。本日は、体験するいい機会だったと思います。とても分かりやすくて良かったです。

・娘と一緒に体を動かせて、とても楽しかったです。普段、時間も場所もなかなかとれないので、このような機会があり、参加できてよかったと思います。ありがとうございました。

・子どもと非常に楽しい時間を過ごせて、良かったです。ピアノの生音で動けて遊べるのが、子どもにも楽しかったと思います。

・やっていると、自然に笑顔になりました。

などなど…、とても心ある内容の数々のご感想が書かれてありました。

感想カードを送ってくださいました担当者の方のメモにも
「受付時には、緊張していたのかなと思われた子ども達が、帰りにはみんな笑顔だったのが印象的でした」とあり、お役に立てたかな・・・?と、ひとまず安堵しています。

第2回目に向け、ご参加くださる方々にご満足頂き、リトミックについてより印象を深めていただける講習会になりますよう、また私自身も楽しく指導させていただきたいと思っています。

Karin Greenhead先生のリトミック・レッスン

Karin Greenhead先生は、「芸術家のためのリトミック」を提唱し、実践している第一人者。洞察力の鋭さ、芸術に対する感性の豊かさは逸脱していて、常にリトミックの世界に刺激を与えています。

先生のリトミシャンへの言葉にも、リトミックとは?という命題に一つ理解が深められました。

「ダルクローズのサブジェクトが、本当は何を意味するのかを理解しなければなりません。それは、音楽の中だけではなく、生活や全ての芸術の中に存在します。アナクルーシスが音楽の世界の中だけでなく、自然、人間の営み、詩、舞踏、演劇、文学、映画、視覚芸術の世界の中にも見出されることを理解したとき、何故、リトミックが素晴らしいかを始めて理解することができるでしょう。芸術家を養成し、すべての人の総合教育に寄与することができるのです。」

Karinがリトミックレッスン中に弾いた、Bachフランス組曲1番のサラバンド…神秘的で瞑想性に溢れ、深かった。これがあの曲⁈という感動。原曲が弦楽四重奏だったかと思う程に、一音が豊かに伸び重厚な響き。これが大家の演奏というものだろう。

また、様々なサブジェクトを盛り込んだ今回のレッスンの中で、「How Do You Feel Today?」
という、人の様々な表情が描かれているプリントが配られ、自由に選択しその気分を身体で表現する、という時間があった。
参加者一同、日本人であることを忘れて(笑)おおいになりきって、お芝居をする。リトミシャンは、こういうことには慣れている。
が、そこからが、Karinのレッスンの醍醐味である。
その、つたない(?)動きにつけられた先生のピアノ演奏が、素晴らしい!!
空気が一度に、ヨーロッパ音楽の世界に変化する。
リトミックレッスンのピアノ演奏は、即興演奏である。
しかし、美しく楽しい音使いでありながら、あたかも作曲された曲のごとく、完成度が高く、ドビュッシーか、ガーシュインか、バルトークか・・・というほど、質の高い即興演奏。

圧倒的な、「音楽」に触れ、大いに勉強できた講習会であった。

職員研修

まずは、12月の音楽会に向けてのプログラム決め。
今年の合奏は
3歳・・・しろくまのジェンカ
4歳・・・シンコペイティッド・クロック
5歳・・・ボギー大佐
クラスの人数と子どもたちのレベルに合わせての楽器編成や使用リズムパターンを打ち合わせて、楽譜を作成することに。
新任の担当者が居るので、合奏指導する時の分析方法や手順のついて、自作の「ミッキーマウスマーチ」の楽譜を使い、解説。
ターナリーのリズムパターンをちりばめてあるので、それを使ったリトミックも。

次に、楽器の演奏方法と音色の違いについて、いろいろな体験をするコーナー。
今回は、特に8月にフレームドラムの講習を受けてきたので、それをメイン活動に。
最後に、you tubeでプロの演奏をいろいろ聴いて、感動をシェア。

即興リズムの心地よさに酔いしれた後に、
今度は、「星空カーニバル」のCDを聴きながら、自分の好きなリズムパターンを作る。
しばし、曲に合わせて踊りながらそのリズムパターンをしゃべり、強弱をつけたり、オノマトペを変化させたり。それから、そのリズムにふさわしい楽器を選び、即興的に合奏。
それから、それぞれのリズムを発表し合い、そのリズムをよりメリハリをしっかりつけて効果的に聴かせるためにはどうすればよいか、ニュアンスの付け方を話し合う。
おもに、アクセントの位置やスタッカートを付けるなんていう話。

そこから、オノマトペと声のニュアンスに入り、声のコントロールについて、いろいろな体験をする。発声をゲーム的にあそびを通してやる、ということにトライしてみた。
動きをつけたり、何人組かになって相手と同じことをする・違う事をするなど。
それから、番号唱で楽しく音階を歌い、午前の部終了。

お昼は、みんなでお弁当。
話題は主に、受け入れている障害児の発達とケアについて。
広汎性発達障害児や自閉的傾向児、みんな結構正面から向き合って、成長を楽しみにしている。
音楽の役割について、試行法を提案したり、過程をシェアしたり。
当然ながら、音楽の役割は大きいねと。
私にとっては、嬉しい時間。

午後は、宿題にしてあった「絵本と身体表現」
リトミックの発表会の題材として、絵本を使う事は多いが、どうしてもストーリーを追ってしまうので、今回、オノマトペと身体表現のみで絵本を紹介する という宿題をだしておいた。
色んな面白い本を探して来ていた。
「お鍋の中のお豆がぐつぐつ煮えていく」
「○がころころ・・・色んなところを転がっていく」
「粘土になって、こねられていろんなものに変身していく」
「ペロペロキャンディーから色の帯がニョロニョロ出てきて色んなものに変身!」(谷川俊太郎・長 新太コンビの本、これは楽しかった。ホントに色んなバリエーションが出来る)
「あめふり・・・雨粒、風→嵐、太陽、お花」
「2月の赤ちゃん」(寒いけど赤ちゃんが生まれて心がほっこり、雪なのにお花みたい、北風なのに音楽みたい・・・という心温まる優しい気持ちの素敵な本)
「水たまり・・・色んなお客さんがやってきて水たまりが変化してく」

といった感じ。実に楽しかった。
ホントはこれに出来たら音楽も付けておくという課題も出してあったけど、残念ながらそこまで出来ていた人はいなかった。
この辺が、これからの課題だなあ。

最後に、バイナリービートの不等分割のリトミック。
さすがにカノンにするところまでは出来なかったけれど、リズムの身体表現、ステップなどは綺麗に良く出来ていた。
とにかく、数年前はスキップするだけで、足がこんがらがるような感じだったのに、いやあみんなよくここまで付いてこれるようになったなあ~と、ちょっと私の中でひそかに感動。
「リズム本来の持っているアクセントやニュアンスを正しく感じて表現できるとホントに気持ちがいいね~~~~」
という事で、今日の研修は終わり。

さて、これから音楽会に向けて、子どもたちと音楽を通して楽しい時間を過ごしていってね。